請求書の発行日と支払期限の決め方 ― 締め日との関係

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請求書の発行日を何日にするか、支払期限をいつに設定するか。自社の都合だけで決めてしまうと、入金が1か月まるごと遅れることがあります。決め手になるのは、取引先ごとの締め日と支払日の組み合わせです。この記事では、その合わせ方を順番に整理します。

発行日と「取引年月日」は別のもの

先に用語を分けます。適格請求書の記載事項として求められているのは「取引年月日」であって、発行日ではありません。

項目意味法定の記載事項か
取引年月日商品を納めた日、役務を提供した日必要
発行日その請求書を作成・発行した日必須ではない

1か月分をまとめて請求する場合、取引年月日は「◯月1日〜◯月31日」のように期間で示す形が使われます。日々の納品書と対応させておけば、期間の記載で足ります。記載事項の全体は適格請求書に必ず書く6項目にまとめています。

発行日は法定事項ではありませんが、実務ではほぼ必ず書きます。相手が「いつの請求か」を判断する目印になり、支払期限の起点にもなるためです。

発行日は締め日に合わせる

月末締めなら月末日、20日締めなら20日。締め日をそのまま発行日にするのが基本です。理由は単純で、相手の経理がその日付で計上するためです。

避けたいのは次の2つです。

  • 締め日より前の日付を入れる。作成した日を入れてしまうと、締め日以降の取引が含まれていないように見える
  • 実際に送る日を入れる。月初の3日に送るからと3日付にすると、相手の当月計上に間に合わないことがある

発行日を締め日にしておけば、いつ送っても日付は動きません。作成日と発行日を切り分けて考えるのがこつです。

支払期限は、相手の支払日に合わせる

ここが実務でいちばん効きます。支払期限に自社の希望を書いても、相手はその会社の支払サイクルで動きます。「発行日から30日以内」と書いても、相手が月末締め翌月末払いなら、その日に入ってきます。

よくある組み合わせを挙げます。

相手の条件3月分の入金日
月末締め・翌月末払い4月30日
月末締め・翌々月末払い5月31日
20日締め・翌月10日払い4月10日(3月21日以降の分は翌サイクル)
15日締め・当月末払い3月31日(3月16日以降の分は翌サイクル)

支払期限の欄には、この計算で出した実際の入金予定日を書きます。相手のサイクルと違う日付を書いても意味がないうえ、期限を過ぎたかどうかの管理が狂います。

1日ずれると1か月ずれる

20日締めの取引先に、21日付の請求書を出したとします。その1通は当月のサイクルに乗らず、翌月の締めに回ります。入金は1か月まるごと後ろにずれます。

金額が大きい取引先でこれが起きると、資金繰りに直接響きます。締め日の直前に発行する請求書ほど、日付を慎重に見る必要があります。締め日が月末でない取引先は、社内の請求書作成の予定表にその日付を書き込んでおくと事故が減ります。

新規の取引先に、最初に聞いておくこと

取引が始まってから聞くと角が立ちます。条件を詰める段階で、次の3つをまとめて確認しておきます。

聞くことなぜ必要か
締め日発行日を決めるため
支払日支払期限の欄に書く日付を出すため
請求書の提出期限と提出方法締め日と提出期限は別のことが多い。郵送指定や専用ポータルの場合もある

聞き方の例です。「ご請求の締め日とお支払日、あわせて請求書のご提出期限とご提出方法をお教えいただけますでしょうか。」この一文で3つとも返ってきます。

あわせて振込手数料の負担も決めておくと、あとが楽です。こちらは振込手数料はどちらが負担するのかにまとめています。提出方法がメールの場合の件名の型は請求書をPDFで送るときの件名・ファイル名の型を参照してください。

締め日に間に合わなかったとき

提出期限を過ぎてしまった場合、黙って送ると翌サイクルに回されて終わります。先に電話かメールで一報を入れると、当月分として受け付けてもらえることがあります。

「◯月分のご請求書のご提出が遅れており申し訳ありません。本日中にお送りいたしますが、当月のお支払いに間に合いますでしょうか。」と、可否を相手に判断してもらう形で聞くのが角が立ちません。

間に合わない場合は、支払期限の欄を翌サイクルの日付に直してから送ります。当初の日付のまま送ると、こちらの管理台帳でも「入金遅延」として残ってしまいます。ずれることが確定した時点で、書類の日付をそろえておくほうが後の確認が楽です。

支払期日に上限がある取引もある

発注側と受注側の規模などの条件に当てはまる委託取引では、支払期日に法律上の上限があります。物品等を受け取った日から起算して60日以内で、かつできる限り短い期間内に定めることが求められます。

この規制は、2026年1月1日に施行された改正で内容が広がりました。法律の名称も「下請法」から「中小受託取引適正化法(取適法)」に変わっています。手形による支払いが禁止された点も、資金繰りに関わる大きな変更です。

自社の取引がこの法律の対象になるかどうかは、当事者の規模や取引の内容で決まります。「翌々月末払い」と言われて疑問を感じた場合は、対象取引かどうかを確認する価値があります。判断は公正取引委員会の相談窓口や弁護士にご相談ください。

支払期限を書かないとどうなるか

支払期限の欄が空のまま送っている会社もあります。相手が決まったサイクルで払ってくれている間は問題になりませんが、入金が遅れたときに困ります

期限の定めがない債務は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負うのが民法上の考え方です。つまり催促して初めて「遅れている」状態が始まることになり、期限を書いてある場合と比べて立場が弱くなります。

実務上も、期限が書いていない請求書は相手の支払い順序で後回しにされがちです。1行書いておくだけで、催促の連絡がしやすくなります

支払期限が土日祝にあたるとき

月末が日曜日、といった場合の扱いです。前倒しにするか翌営業日にするかは取り決め次第で、決まった正解はありません。

実務では前営業日に前倒しされることが多い印象ですが、相手によって違います。請求書の支払期限欄には、前倒し後の実際の日付を書くようにすると、入金確認のときに迷いません。「◯月31日(金融機関休業日の場合は前営業日)」と括弧書きを添える書き方もあります。

決めておくこと

決めること具体的に
発行日取引先ごとの締め日に合わせる。作成日や送信日は使わない
支払期限相手の締め日と支払日から逆算した実際の入金予定日を書く
取引先台帳の項目締め日・支払日・請求書の提出期限・提出方法の4つを記録する

取引先ごとの締め日と支払日を一覧にしておくと、毎月の請求書作成でその都度考える必要がなくなります。入金予定日も自動的に決まるので、資金繰りの見通しも立てやすくなります。

判断に迷う場合

ここで書いたのは一般的な整理です。契約の内容や取引の形態によって扱いが変わります。適格請求書の記載事項については国税庁が公開している「インボイス制度に関するQ&A」を、支払期日の規制については公正取引委員会の公表資料や相談窓口をご確認ください。


関連する記事として、請求書番号の付け方も用意しています。なおちくし請求書では、請求書ごとに発行日と支払期限を入力してPDFに反映できます。取引先ごとの締め日を記憶する機能はないため、期日の管理は別途行っていただく形です。