取引先から届いた請求書に「T」で始まる番号が書かれていても、それが有効な登録番号かどうかは見ただけでは分かりません。有効かどうかは国税庁の公表サイトで確認できます。この記事では、番号の仕組みと、自社・取引先それぞれの調べ方を順に整理します。
登録番号は「T」+13桁の数字
適格請求書発行事業者に付けられる登録番号は、ローマ字のTに続けて13桁の半角数字という形です。桁数はどの事業者も同じで、法人か個人事業者かで13桁の中身が変わります。
| 事業者 | 13桁の中身 |
|---|---|
| 法人 | 法人番号がそのまま入る(T+法人番号) |
| 個人事業者・人格のない社団等 | 法人番号とは関係のない13桁が、新しく割り当てられる |
よくある誤解として、個人事業者の登録番号にマイナンバーが使われることはありません。まったく別の番号が新しく振られます。取引先に番号を伝えることに不安を感じる必要はない、ということです。
登録番号は、適格請求書に必ず書く6項目の1つ目にあたります。記載事項の全体は適格請求書に必ず書く6項目にまとめています。
自社の番号を確認する
自社の番号が分からなくなった場合、確認先は3つあります。
- 登録通知書を探す。登録時に税務署から届いた書類に記載されています
- 法人であれば法人番号から組み立てる。Tのあとに自社の法人番号13桁を続けたものが登録番号です
- e-Taxで登録申請をした場合は、通知書等一覧から電子の通知を確認できます
番号が分かったら、請求書のひな形に1回入れて固定してしまうのが確実です。毎回入力していると、支店や担当者ごとの古いファイルで入れ忘れが起きます。
取引先の番号を確認する
国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で調べます。
https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/
番号が分かっている場合
検索欄にTを除いた13桁の数字だけを入れて検索します。Tまで入れると弾かれるので注意してください。複数の取引先をまとめて確認したいときは、一度に10件まで入力できます。
結果が出たら、画面に表示された名称が、請求書の発行者名と一致しているかを見ます。番号が有効でも、別の事業者の番号が書かれていれば意味がありません。
番号が分からない場合
公表サイトには会社名から登録番号を逆に引く機能はありません。ここが不便な点です。相手によって回り道が変わります。
| 相手 | 調べ方 |
|---|---|
| 法人 | 国税庁の「法人番号公表サイト」で会社名から法人番号を調べ、頭にTを付けて公表サイトで検索する |
| 個人事業者 | 公表サイトからはたどれない。本人に聞くのが確実 |
個人事業者の氏名や屋号から番号を探す方法は、原則としてありません。取引開始時に番号を教えてもらい、自社の取引先台帳に記録しておくのが結局いちばん早い方法です。
よくある書き間違い
検索して出てこないとき、相手が未登録なのではなく、単に書き方が違っているだけの場合があります。先にここを疑うと早いです。
| 間違い | どうなるか |
|---|---|
| Tが全角の「T」になっている | 見た目では気づきにくい。半角のTが正しい |
| 数字の間にハイフンや空白が入っている | 13桁の連続した数字で書く |
| Tを付けずに13桁だけ書いている | 登録番号としてはTを含めた形が正しい |
| 法人番号と取り違えている | 法人の場合は中身が同じなので、Tの有無だけの違いになる |
自社の請求書についても、Tが全角になっていないかは一度見ておく価値があります。表計算ソフトで作っていると、日本語入力のまま打ってしまい気づかないことがあります。
公表サイトに出てくる情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 登録番号 | T+13桁 |
| 氏名または名称 | 法人は名称、個人事業者は氏名 |
| 登録年月日 | いつから適格請求書発行事業者か |
| 最終更新年月日 | 情報が最後に更新された日 |
| 本店等の所在地 | 法人のみ |
個人事業者の住所や屋号は、本人が申し出た場合にだけ公表されます。出ていないのが普通なので、住所が表示されないことを不審に思う必要はありません。
登録が取り消された場合や失効した場合も、その情報が公表されます。登録年月日だけでなく、有効な状態かどうかも画面で確認できます。
登録年月日は、意外と見落とされる
公表サイトで見るべきなのは、番号が存在するかどうかだけではありません。登録年月日より前の取引は、適格請求書の対象になりません。
期の途中で登録した事業者と取引している場合、たとえば登録年月日が7月1日なら、6月分の請求書に番号が書かれていても、その取引は登録前のものです。番号の有無ではなく取引の日付と登録年月日の前後で決まります。
取引を始めたばかりの相手や、免税事業者から登録した相手では起こり得ます。登録年月日が最近の日付になっていたら、手元の請求書の取引日と見比べておくと安全です。
いつ確認すればよいか
毎月すべての取引先を確認するのは現実的ではありません。次の3つのタイミングに絞れば足ります。
| タイミング | 理由 |
|---|---|
| 新しい取引先と取引を始めるとき | 最初に確認して台帳に記録する。以後は原則不要 |
| 年に1回、まとめて | 登録の取消しがないかを見る。10件ずつ検索できるので、数十社でも短時間で終わる |
| 請求書の番号が前回と変わっているとき | 入力ミスか、事業者そのものが変わった可能性がある |
登録がない取引先だった場合
検索しても出てこない場合、その事業者は免税事業者などで、適格請求書を発行できない立場だと考えられます。取引をやめなければならない、という話ではありません。
登録のない事業者からの仕入れについては、仕入税額控除の経過措置が設けられています。仕入税額相当額の80%を控除できる期間は、2026年9月30日までです。2026年10月1日以後は控除できる割合が引き下げられ、段階的に縮小していきます。
ただし、この引き下げの割合と時期は税制改正で見直しが入っています。いつから何%になるかは、国税庁の最新の情報と顧問税理士に確認してください。ここでは「2026年9月末で80%の期間が終わる」という区切りだけ押さえておけば十分です。
実務としては、登録のない取引先がどこかを一覧にしておくことが先です。金額の大きい相手が含まれていれば、条件の見直しや相談が必要になるかもしれません。
番号が書かれていない請求書が届いたとき
登録はしているのに、請求書に番号を書き忘れている取引先もあります。この場合は再発行を依頼することになります。角が立ちにくい伝え方の例を挙げます。
「お世話になっております。◯月分のご請求書につきまして、適格請求書の要件である登録番号の記載が見当たりませんでした。お手数ですが、登録番号を記載したものを再度ご送付いただけますでしょうか。」
ここで「要件である」と根拠を書いておくと、相手も社内で説明しやすくなります。相手が未登録だった場合は、その旨の返答が来るので、そこで初めて経過措置の話になります。
確認した結果をどう残すか
毎回調べ直さないために、取引先の一覧に次の3つを足しておきます。
- 登録番号(T+13桁)
- 確認した日付
- 登録がない場合は、その旨
確認した日付を残しておくと、年1回の見直しのときにどこまで確認済みかが分かります。担当者が代わっても引き継げます。
判断に迷う場合
ここで書いたのは確認の手順です。登録のない事業者との取引をどう扱うか、経過措置をどう適用するかは、自社の状況によって判断が変わります。制度の詳細は国税庁が公開している「インボイス制度に関するQ&A」で、個別の判断は顧問税理士にご相談ください。
関連する記事として、適格請求書に必ず書く6項目と8%と10%が混在する請求書の書き方も用意しています。なおちくし請求書では、自社の登録番号を1回登録すると、以降の請求書のPDFに自動で記載されます。